嘘MBTI診断メーカーの失敗から学ぶAI駆動開発3つの注意点|体験談
この記事で分かること
AI 駆動開発は 「早く作れる」が故に落とし穴も深い です。
- (1) 品質担保を軽視しやすい
- (2) API 課金の想定が甘くなりがち
- (3) 拡散したときの負荷対策が後手に回る
この記事では 大森翔吾 が、自分がエイプリルフール企画で作って見事にスベった「嘘MBTI診断メーカー」の体験談をもとに、AI 駆動開発で個人開発者が踏みやすい3つの罠と、その回避策を正直に話します。
そもそも「嘘MBTI診断メーカー」とは何だったのか
嘘MBTI診断メーカー は、2025年4月1日のエイプリルフールに向けて僕が2日間で開発・公開した Web サービスです。
本家 MBTI 診断(ENTP、INTPなど4文字アルファベットで性格を分類する診断)を皮肉ったパロディで、「AEON タイプ(完全にうどん屋のチェーン)」みたいな大喜利的な嘘のMBTIタイプを作れるジェネレーターでした。
きっかけは成功体験です。2025年2月22日の猫の日に公開した「猫型MBTI診断」が4日間で1.5万人に使われ、「エイプリルフールもいける!」と完全に調子に乗ってしまった、という話です。
結果:3リツイート、900インプレッション
「ほぼ誰の目にも止まらなかった」というのが正確な表現です。シンプルに、スベりました。
ただ、このスベりのおかげで AI 駆動開発の弱点が言語化できたので、ここからが本題です。
AI 駆動開発は「作るスピード」が異常に速い
前提を共有します。僕は 株式会社CAEN という一人法人で、AI を使って Web サービスやモバイルアプリを個人開発しています。
AI 駆動開発(Claude Code、Cursor、Codex などの AI エージェントに実装を任せる開発スタイル)を始めてから、開発スピードは体感で3〜5倍になりました。ゼロからAI駆動開発を始める体験談 にも書いた通り、従来なら1週間かかる Web サービスが2日で動くのは現実です。
問題はここからです。速く作れるが故に、昔なら当たり前だった「前工程」を端折りやすくなります。僕が 嘘MBTI で踏んだ3つの罠は、全部この「速さ故の油断」から来ています。
注意点1:品質担保を軽視しやすい
AI に「プロトタイプ作って」とお願いすると、数分で動くものが出てきます。動いてしまうので、そのまま本番に出したくなるんですよね。
嘘MBTI の場合、僕はデザインだけは Web デザイナーの魂を込めて作り直した(黒ベース、真っ赤な嘘だから差し色は赤)のですが、エッジケースの検証が圧倒的に甘かったです。たとえば、
- スマホの特定ブラウザで表示が崩れないか
- 長すぎる入力を入れたときに画面が壊れないか
- シェア画像の OGP が全 SNS で意図通りに出るか
こういうチェックを、「AI が作ったから大丈夫でしょ」で飛ばしました。結果、公開後に細かい破綻を後追いで直す時間が発生し、肝心の「公開当日のプロモ時間」を食われる、という二次被害を受けました。
回避策
- プロトタイプ段階で、テストケースも AI に書かせる(1分で書いてくれます)
- スペック駆動開発 の考え方で、仕様 → 実装 → 検証の順を崩さない
- 「早く作れる」の分、検証に時間を使う余裕が生まれた と捉える
AI 駆動開発は「検証を飛ばしていい」という話では決してなくて、「検証に回せる時間が増える」という話です。ここを勘違いすると、僕みたいに公開直後にバタバタします。
注意点2:API 課金の想定が甘くなりがち
AI を活用したサービスを作ると、LLM の API コストが常に裏で走ります。
嘘MBTI も生成 AI の API を叩く箇所があり、僕の脳内では「まあ無料枠で十分でしょ、そんなに使われないし」で済ませていました。ところが、AI駆動開発でアイデアを形にする話でも触れた 通り、API 課金は「使われない想定」で引くと事故ります。
今回は大してバズらなかったので結果的に軽傷でしたが、一方で想定より大きな API コストが発生した局面はあります。仮に猫の日みたいに1.5万人規模でアクセスが来ていたら、単価 × リクエスト数で想像以上に膨らんだはずで、正直、冷や汗が出ました。
回避策
- 公開前に「1,000リクエストあたり何円か」を概算する(ドキュメントに書いてある)
- API キーには 使用量上限(hard limit)を必ずセット しておく
- キャッシュできる結果はキャッシュする(特に定型プロンプト)
- 初期はゲスト利用に制限をかける/1日の上限を設ける、などのガードを1個でも入れる
「バズったら嬉しい、でも API 請求で泣く」は避けたいので、上限セットは無料15分の作業 です。これだけは絶対やっておきましょう。
注意点3:拡散したときの負荷対策が後手に回る
3つ目が一番「AI 駆動開発あるある」だと思います。サーバーとインフラが最後に詰められる 問題です。
僕は Vercel にデプロイすることが多いのですが、個人開発の Hobby プラン(非商用利用限定、使用量上限あり)は、バズると帯域や関数実行回数の上限にぶつかる可能性があります。
嘘MBTI は結果的に誰にも届かなかったので無傷でしたが、仮に猫の日のように伸びていたら、
- サーバーレス関数の同時実行上限
- 画像生成 API のレート制限
- CDN キャッシュのミスヒット
あたりでボロが出ていた可能性が高い です。AI に「負荷試験も書いて」と頼めば書いてくれるのに、「たぶん大丈夫でしょ」で素通りしていた。これは完全に油断でした。
回避策
- 公開前に 1分間100アクセス程度の簡易負荷テスト を回す(Playwright でも可能)
- 商用利用になる可能性があるなら、最初から Vercel Pro 以上を検討する
- データベースアクセスが重い処理はキャッシュ層を挟む
- エラーが出たときに 優雅にフォールバック する UI を用意する(「混雑中です、少し待って」程度でいい)
AI駆動開発のフロー全公開 でも書いた通り、公開前チェックリストを1枚持っておくと、この手の抜け漏れがだいぶ減ります。
失敗を「学び」に変換するのが一番コスパがいい
ここまで読んで気付いた方もいるかもしれませんが、この3つの罠は、どれも AI 駆動開発を始めた瞬間に踏みやすいもの です。
ただ、僕はこの失敗で AI 駆動開発を嫌いになったかと言うと、全くその逆 です。
- 2日で Web サービスを公開できた(従来開発では無理)
- スベっても「勉強代」として小さく済んだ
- 次の企画ではすぐに反省を活かせる
失敗の単価が安い のが AI 駆動開発の最大の強みだと、今回の件で確信しました。元役者だった僕が AI 開発者になれた のも、この「小さく失敗して学ぶ」サイクルが回せるからです。
リリース直後の恥ずかしさ(これ滑ってる?感)は、正直めちゃくちゃあります。でも、出さない開発者より、出してスベる開発者の方が100倍成長します。これは舞台に立ってきた経験から断言できます。
結論:AI 駆動開発は「速さ × 検証」で真価を発揮する
最後にまとめます。AI 駆動開発の3つの注意点は、
- 品質担保を軽視しない(検証時間が増えたと捉える)
- API 課金の上限は必ず引く(無料15分の保険)
- 負荷対策を公開前に1回は回す(Playwright で十分)
どれも大した手間ではなくて、「速く作れたからこそ、これくらいは守ろう」 という話です。失敗してから学ぶのも悪くないですが、この記事を先に読んでくれた人は、ぜひ僕の勉強代を横取りしてやってください。
それでも間違いなく、AI 駆動開発は個人が勝負できる最強の武器 です。嘘MBTI はスベりましたが、次のエイプリルフールでリベンジする気は満々です。
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株式会社CAEN(代表:大森翔吾)では、AI 駆動開発の導入支援、企画から公開までのワークフロー設計、API コスト設計や負荷対策のアドバイスを承ります。
- お問い合わせ:info@caen.co.jp
- ポッドキャスト:AI駆動開発ラボ(stand.fm)
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