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Codex CLI を 6時間ごとに走らせて Love2D ゲームを無人で量産する仕組み

この記事で分かること

  • 僕(大森翔吾)は Codex CLI を 6時間ごとに自動起動して、Love2D ゲームを無人で1本ずつ生成・公開し続けるパイプライン を運用している
  • 寝ている間にも everyday-love-games リポジトリが育ち、すでに 30本以上のゲーム が GitHub Pages に並んでいる
  • 「AI に1本作らせる」ではなく 「AI に作品を作り続けさせる」 という、AI駆動開発の新しい使い方の具体実装

「対話して1本作らせる」フェーズは、もう終わりにしたい人向けの記事です。

背景|AI駆動開発を「シンセ的に」回したかった

僕はゲーム開発を Godot × AI駆動開発 や Love2D で試してきましたが、どこかでずっと引っかかっていたことがあります。

1本ずつ AI と対話して作るのは、結局「人間の時間」が律速になる。

DAW のシンセサイザーは、パラメータを設定したら鍵盤を押すだけで音が鳴り続けます。同じことを AI 駆動のゲーム制作でやりたかった。テーマも実装も AI に任せて、僕は「鳴らし続ける」ことだけ管理する。これが今回のパイプラインの動機です。

別系統で、Discord Bot 経由で iPhone から AI に作らせるインタラクティブ量産(claude-agent-bot)もやっていますが、本記事はその対極にある 完全無人量産 の話です。

プロジェクト構成|everyday-love-games

リポジトリは everyday-love-games。中身はかなりシンプルです。

everyday-love-games/
├── games/
│   ├── beat-invaders/main.lua
│   ├── bomb-bubble/main.lua
│   ├── constellation-snake/main.lua
│   ├── tetro-frog/main.lua
│   └── ...(30本以上)
├── scripts/
│   ├── build_site.sh           # love.js で Web パッケージング
│   └── publish_generated_games.sh
├── public/                      # GitHub Pages 公開対象
└── .github/workflows/deploy-pages.yml

役割分担は、Lua + LÖVE がゲーム本体、build_site.sh が love.js(LÖVE の WebAssembly ランタイム)を使ってブラウザ向けに固める、GitHub Actions が public/ を Pages にデプロイする、という3層です。

ゲーム命名はパロディ的なジャンル合成が多くて、katamari-pac(塊魂×パックマン)、tetro-frog(テトリス×カエル)、tide-tetristunnel-plumbergravity-kongcozy-stealth-mail あたり眺めるだけで AI のセンスが垣間見えて楽しいです。

自動生成パイプラインの中身

ステップ1|定期ジョブで Codex CLI を起動

macOS の launchd(Linux なら cron)に 6時間ごと のスケジュールを仕込み、Mac mini 上で Codex CLI をヘッドレス起動します。Codex CLI は OpenAI が提供する公式の CLI エージェントで、codex exec で非対話モードで走らせられます。

ジョブが叩くのは「テーマを決めて、Love2D ゲームを 1 本作って、コミットしてプッシュしろ」という1枚のプロンプトファイルです。テーマ自体も AI に決めさせるのがミソで、ここを人間が握ると結局律速になります。

ステップ2|Codex がゲームを新規生成

起動された Codex は games/<slug>/main.lua を中心にゲーム一式を生成します。Love2D(LÖVE)は main.lua 1本+アセットだけでゲームが動く軽量フレームワーク なので、AI にとって生成しやすい構造です。Godot の良さ(Godot × AI駆動開発)と同じく、プロジェクトが全部テキスト で扱える点が AI と相性が良い理由です。

ステップ3|build_site.sh で Web パッケージング

scripts/build_site.shgames/ 以下の main.lua を持つディレクトリを全て検出し、love.js でブラウザ動作する形に固めて public/games/<slug>/ に配置します。同時に「今日のゲーム」を public/today/ に出すロジックも入っていて、トップページが毎回フレッシュに見えます。

ステップ4|GitHub Pages へ自動デプロイ

git push を契機に .github/workflows/deploy-pages.yml が走り、GitHub Pages が更新されます。僕は何もしていない のに、URL に新作が増え続ける状態が完成します。

なぜ Love2D を選んだか

  • 配布が楽:love.js でそのままブラウザに載る。スマホでも動く
  • AI が書きやすいmain.lua 1ファイルでも完結できるので、生成コストが軽い
  • エンジン GUI が要らない:Unity / Unreal と違ってクリック操作がゼロ。完全に CLI 完結

「AI に作らせるゲーム」を選ぶなら、Godot か Love2D の二択だと今のところ僕は思っています。比較したい人は Godot × AI駆動開発 も読んでみてください。

クオリティの話|全部が傑作ではない(むしろほぼ凡作)

正直に書きます。30本以上ある中で、傑作はありません。だいたいは凡作、まあまあ遊べるのが数本、という感触です。

ただ、これは設計通りです。このパイプラインの価値は「傑作を1本生む」ことではなく、「ネタを大量に試して、当たりだけ拾い上げる土壌を作る」 ことにあります。実際、ここで生まれた小ネタの中から、本気で開発する別プロジェクト(SwingByByBy 等)にアイデアを移植する流れができ始めています。

量と質はトレードオフではなく、量がないと質は引けない というのが、この実験の最大の学びです。

コストと運用の注意

  • Codex CLI の利用料:2026年4月時点では ChatGPT Plus / Pro 契約に含まれる利用枠の範囲で動かしています。枠を超えると従量課金が発生 するので、6時間ごとという頻度はそれを意識した設定です。料金体系は変動するので、必ず公式の最新情報を確認してください
  • GitHub Pages の制限:Pages は無料で使えますが、帯域・サイズに上限があります(0円で始める AI駆動 Webサイト制作 でも触れています)
  • Mac mini を常時稼働:launchd で叩く以上、Mac mini を起こしておく必要があります。サーバーレスでやるなら GitHub Actions の cron でも代替可
  • 暴走対策:1回の生成に上限時間とトークン上限を必ず設定。AI を放牧する以上、ガードレールはマスト

このあたりの「いくらまで AI に張るか」の感覚は AI駆動開発にいくら投資すべきか で別途整理しています。

この仕組みで見えた「AI駆動開発の新しい使い方」

ここまで書いて改めて思うのは、AI 駆動開発は「対話して1本作らせる」段階から、「暇な時間に勝手に作品を作り続けさせる」段階に進化できる ということです。

  • 1本作る AI は、優秀な外注スタッフ
  • 作り続ける AI は、自前の制作スタジオ

スタジオを所有できるのが、現代の個人開発者の本当の武器です。マルチ AI を併用するワークフロー(AI駆動開発で複数AIを使い分ける実践術)と組み合わせれば、生成・選別・本番開発までの流れを全部 AI で回す構図も視野に入ります。

ベースになる Claude Code / Codex CLI そのものの使い方は Claude Code 完全ガイド で、Love2D 自体の入り口は別記事 Love2D × AI駆動ゲーム開発(公開準備中)で扱う予定です。

まとめ|「ゲームが自動で増える」をプラットフォーム化する

everyday-love-games は、僕の AI 駆動開発における 「シンセを鳴らし続ける鍵盤」 です。

  • 6時間ごとに Codex CLI が起動
  • AI がテーマを決めて Love2D ゲームを生成
  • love.js で Web パッケージング
  • GitHub Pages に自動デプロイ
  • 寝ている間にゲームが増える

凡作の山の中から、たまに光る原石が出てくる。その原石を僕が拾って、本気プロジェクトに投入する。人間は「選別と本気開発」だけに集中する という分業が、ようやく現実になりました。

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株式会社CAEN(代表:大森翔吾)では、Codex CLI / Claude Code を使った 無人生成パイプラインの設計・実装支援、ゲーム・コンテンツの自動量産基盤の構築、launchd / GitHub Actions を活用した AI ジョブの定常運用設計を承ります。

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